二方路線影響加算|図解付き

1.二方路地

二方路地とは、一般に、道路に正面と背面の2面で接する土地をいいますが、相続税の土地評価における二方路地は、そのうち相続税路線価が付された路線に2面で接する土地のことをいいます。

二方路地として評価をする画地としない画地
二方路地として評価をする画地としない画地

したがって、背面道路に相続税路線価が付されていない場合には、外形上「二方路地」であったとしても、相続税の土地評価においては二方路地として取り扱う必要はありません。

なお、この取り扱いは、背面道路に相続税路線価が付されておらず、特定路線価の設定を依頼し、特定路線価が付されている場合においても同様です。(詳細は「7.背面路線が特定路線価である場合」を参照)

2.二方路地であることによる効用増大の効果

二方路地と中間画地
二方路地と中間画地

(1) 用途的地域に応じた効用増大の内容とその効果

二方路地である土地は、中間画地である土地と比較して効用の増大が認められますが、その効用増大の効果は一律ではなく、その属する用途的地域によって影響の内容や度合いが異なります。

① 住居系地域の場合

住居系地域の場合、二方路地であることによる効用増大は、主として居住環境の良化又は生活利便性の向上にあり、例えば次のものがあります。

  • 日照、通風の良化
  • 出入りの便の良化
  • 建築レイアウトの自由度の向上

② 商業系地域の場合

商業系地域の場合、二方路地であることによる効用増大は、主として収益性の向上にあり、例えば次のものがあります。

  • 正面路線と背面路線からの人や車両の出入りが可能となることによる来客数の増加
  • 視認性の向上
  • 出入りの便の良化
  • 建築レイアウトの自由度の向上

③ 工業系地域の場合

工業系地域の場合、二方路地であることによる効用増大は、主として工場や物流の生産性の向上にあり、例えば次のものがあります。

  • 出入りの便の良化
  • 建築レイアウトの自由度の向上
  • 建物の配置の自由度の向上

(2) 角地と比べた効用増大効果

二方路地であることによる効用増大の効果は、角地である場合と比べて一般的に低くなります。

3.二方路線影響加算

二方路線影響加算の方法
二方路線影響加算の方法

二方路線影響加算は、評価対象地の奥行価格補正後の正面路線価に、次の計算式により計算をした値(単位:円/㎡)を加算することにより行います。

背面路線の奥行価格補正後の路線価 × 二方路線影響加算率 × 影響割合

(1) 二方路線影響加率算率(H19年分以降用)

二方路線影響加算率は、国税庁HPにおいて次の通り定められています。

地区区分加算率
ビル街地区0.03
高度商業地区、繁華街地区 0.07
普通商業・併用住宅地区0.05
普通住宅地区、中小工場地区、大工場地区0.02

(2) 影響割合

背面道路があることによる効用増大の効果は、評価対象地が接する背面道路との接道距離によって異なります。(詳細は「6.背面路線に宅地の一部が接している場合の二方路線影響加算」を参照)

背面路線の一部が宅地に接している場合(影響割合を考慮する場合)
背面路線の一部が宅地に接している場合の例(影響割合を考慮する場合)

具体的には、次の分数式を影響割合として考慮します。

\[ \bf{ 影響割合 = \frac{評価対象地が背面道路に接する部分の長さ}{背面道路を正面路線と仮定した場合の想定整形地の横幅の長さ} } \]

なお、影響割合については端数処理は行わず、二方路線影響加算を行う際に二方路線影響加算率に連乗する形で計算をします。

(3) 二方路線影響加算をしないケース

二方路線影響加算を行わない土地の例(背面道路と評価対象地に高低差がある例)
二方路線影響加算を行わない土地の例(背面道路と評価対象地に高低差がある例)

次のような場合には、二方路地であることによる効用増大の効果は無いと考えられるため、二方路線影響加算をしないことが検討されます。

  1. 評価対象地と背面路線に高低差がある場合
  2. 外形上背面路線に接しているものの、公図上は路線との間に里道や水路が介在する場合

上記のような場合には、加算調整ではなく、不動産鑑定評価による評価や利用価値が著しく低下している宅地の評価の適用により減額補正を検討すべきケースもあります。

ただし、実際の二方路線影響加算の適否の判断は、その地域の特性や評価対象地の個別性などを総合的に勘案の上決定すべきものですので、上記の例に該当するからといって、安易に二方路線影響加算を適用しないことにはリスクがあります。

4.二方路線影響加算の一般的な評価計算例

次の土地は、普通住宅地区に所在する地積240㎡の二方路地です。

二方路地の計算
二方路地の計算の例
  1. 奥行価格補正後の路線価
    正面路線価(80千円/㎡)× 奥行価格補正率(1.00)= 80千円/㎡
  2. 二方路線影響加算後の路線価
    (80千円/㎡) + 背面路線価(65千円/㎡)× 奥行価格補正率(1.00)× 二方路線影響加算率(0.02)= 81,300円/㎡

5.正面路線と背面路線の地区区分が異なる場合

正面路線と背面路線の地区区分が異なる場合には、正面路線が属する地区の二方路線影響加算率を使用し、加算調整を行います。

正面路線と背面路線の地区区分が異なる二方路地

例えば上の図の土地は、評価対象地の背面路線は普通住宅地区に属しますが、正面路線が普通商業・併用住宅地区に属します。

したがって、評価対象地の二方路線影響加算は、正面路線の属する普通商業・併用住宅地区の二方路線影響加算率(0.05)を使用し、加算調整を行います。

地区区分加算率
普通商業・併用住宅地区0.05
普通住宅地区0.02
普通商業・併用住宅地区と普通住宅地区の二方路線影響加算率

6.背面路線に宅地の一部が接している場合の二方路線影響加算

二方路地であることによる効用増大の効果は、評価対象地が背面道路に接している部分の長さにより異なります。

例えば、次の2つの土地は、いずれも「」で示された部分が背面道路に接していますので二方路地に該当しますがが、敷地全体に対するaの長さが短いため、二方路地であることによる効用増大の効果を満足に受けているとは言えません。

背面路線の一部が宅地に接している場合
敷地の一部が背面路線に接している二方路地

したがって、このような二方路地については、背面路線があることによる効用を限定的に受けているとして、二方路線影響加算率に次の分数式で表される「影響割合」を考慮して二方路線影響加算による加算調整を行います。

\[ \bf{ 影響割合 = \frac{評価対象地が背面道路に接する部分の長さ}{背面道路を正面路線と仮定した場合の想定整形地の横幅の長さ} } \]

(1) 敷地の一部が背面路線に接する場合の二方路線影響加算の計算例

敷地の一部が背面路線に接している二方路地の計算例
敷地の一部が背面路線に接している二方路地
  1. 奥行価格補正後の路線価
    正面路線価(80千円/㎡)× 奥行価格補正率(0.97)= 77,600円/㎡
  2. 二方路線影響加算後の路線価
    (77,600円/㎡)+ 背面路線価(65千円/㎡)× 奥行価格補正率 (0.97)× 二方路線影響加算率(0.05:普通商業・併用住宅地区) × 影響割合(8m÷22m)= 78,746円/㎡

(2) 不整形地である場合の二方路線影響加算の計算例

敷地の一部が背面路線に接する不整形地
敷地の一部が背面路線に接している二方路地
  1. 奥行価格補正後の路線価
    正面路線価(80千円/㎡)× 奥行価格補正率(1.00)= 80千円/㎡
  2. 二方路線影響加算後の路線価
    (80千円/㎡)+ 背面路線価(65千円/㎡)× 奥行価格補正率 (1.00)× 二方路線影響加算率(0.05:普通商業・併用住宅地区)× 影響割合(8m÷21m)= 81,238円/㎡

7.背面路線が特定路線価である場合の二方路線影響加算

評価対象地が路線価地域に所在し、かつ、路線価の付されていない道路のみに接している場合には、納税義務者は評価対象地を管轄する税務署長に対して「特定路線価の設定」を申し出ることができます。

しかしながら、その特定路線価が設定されたことにより、その特定路線価の設定の基となった土地以外が二方路地となる場合には、その特定路線価が付された道路を背面道路として二方路線影響加算を行う必要はありません

特定路線価が付されたことにより二方路地となった土地C
特定路線価が付されたことにより二方路地となった土地C

上の図の例は、路線価の付設されていない路線にのみ接する土地Aの評価のために特定路線価の設定の申出をした例です。

この場合、土地Aの評価に当たっては当該特定路線価を用いて画地計算を行いますが、土地Cの評価に当たっては、特定路線価の設定された道路を背面路線として二方路線影響加算を行う必要はありません。

つまり、画地Cについては「中間画地」として評価を行うこととなります。

8.角地ではなく、二方路地として評価をする場合

相続税土地評価における画地調整は、杓子定規に行うものではなく、その土地の実質に着目して行うものであり、その良い例がこの「角地ではなく、二方路地として評価をする場合」の例です。

(1) 角地ではなく、二方路地として評価をする場合

通常、正面路線の側方に位置する路線については側方路線影響加算による画地調整を行います。しかしながら、側方路線が角地としての効用を発揮していない場合には、側方路線影響加算ではなく二方路線影響加算を行います。

角地としての効用を有する土地と角地としての効用を有さない土地
角地としての効用を有する土地と角地としての効用を有さない土地

例えば、上の左側の土地は、東側路線が正面路線となり、北側路線は側方路線となる土地ですが、北側路線は正面路線の側方に位置しているものの、角地としての効用を発揮するような位置関係にはありません。

したがって、このような場合には、正面路線から見て側方にある路線であるとしても、画地調整に当たっては、側方路線影響加算に代えて二方路線影響加算による画地調整を行います。

(2) 二方路線影響加算の評価計算例

側方路線が角地としての効用を有していない土地の例
  1. 正面路線の奥行価格補正後の路線価
    イ)計算上の奥行距離に基づく奥行価格補正後の路線価
      正面路線価(100千円/㎡)× 奥行価格補正率(0.95)= 95千円/㎡
    ロ)差引計算による奥行価格補正後の路線価
     ㋑ 土地A・Bの奥行価格補正後の価額
       正面路線価(100千円/㎡)×奥行価格補正率(0.95)×地積(600㎡)=57,000千円
     ㋺ 土地Bの奥行価格補正後の価額
       正面路線価(100千円/㎡)×奥行価格補正率(1.00)×地積(60㎡)=6,000千円
     ㋩ (㋑-㋺)÷評価対象地の地積(540㎡)=94,444円/㎡
    ハ)イ>ロより 94,444円/㎡
  2. (南)側方路線影響加算後の路線価
    (94,444円/㎡) + 側方路線価(60千円/㎡)× 奥行価格補正率(1.00) × 側方路線影響加算率(0.03)=96,244円/㎡
  3. (北)二方路線影響加算後の路線価
    イ)計算上の奥行距離に基づく奥行価格補正後の路線価
      側方路線価(80千円/㎡)× 奥行価格補正率(1.00)=80千円/㎡
    ロ)差引計算による奥行価格補正後の価額
     ㋑ 土地A・Bの奥行価格補正後の価額
       側方路線価(80千円/㎡)×奥行価格補正率(0.95)×地積(600㎡)=45,600千円
     ㋺ 土地Bの奥行価格補正後の価額
       側方路線価(80千円/㎡)×奥行価格補正率(1.00)×地積(60㎡)=4,800千円
     ㋩ (㋑-㋺)÷評価対象地の地積(540㎡)=75,555円/㎡
    ハ)北側側方路線の奥行価格補正後の路線価
      イ>ロより 75,555円/㎡
    ニ)②(96,244円/㎡) + ハ (75,555円/㎡)× 二方路線影響加算率(0.02)×影響割合(15m/30m) = 96,999円/㎡