奥行価格補正の実務|図解付き

1.奥行価格補正の基本

整形地かつ中間画地の奥行距離

(1) 評価方法

整形地※1かつ中間画地※2である宅地の価額は、正面路線の路線価にその宅地の奥行距離に応じた奥行価格補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します(評基通15)

  • 長方形または正方形である画地を言います。
  • 敷地の一方のみが路線に接する画地を言います。

(2) 奥行価格補正が必要な理由

宅地は建物や構築物の敷地として利用されることでその効用を発揮する土地です。

地域の一般的な奥行距離と比べて長すぎたり、あるいは短すぎたりすると、建築物の用途やレイアウトに制約を受けたり、防災上危険であったり、人や車両の出入りが不自由になったりと、土地の使い勝手が悪くなることから、結果的に土地の価値が低下します。

奥行価格補正は、このような奥行長大或いは短小である土地の価値低下を評価額へ反映させることを趣旨として設けられている画地調整項目です。

2.地区の異なる2以上の路線に接する土地の奥行価格補正

角地または二方路地である土地の2路線の所在する地区区分が異なる場合
角地または二方路地である土地の2路線の所在する地区区分が異なる場合

地区の異なる2以上の路線に接する宅地については、正面路線が属する地区区分に係る奥行価格補正率を用いて、側方路線影響加算及び二方路線影響加算を行います。

正面路線が2以上の地区にわたる場合の地区区分の判定

具体的には、側方路線影響加算等は「側方路線価等×奥行価格補正率×側方路線影響加算率等」という計算式に基づき加算調整を行いますが、この際の奥行価格補正率は側方路線あるいは二方路線が属する地区区分に係る奥行価格補正率を参照するのではなく、正面路線が属する地区区分に係る奥行価格補正率を参照します。

地区の異なる2以上の路線に接する宅地

例えば、上の図の土地は南側路線が正面路線になるため、評価対象地は普通商業・併用住宅地区に存することとなるため、側方路線影響加算に当たっては、普通商業・併用住宅地区に係る奥行価格補正率を参照します。

  1. 正面路線価の判定
    イ)南側路線の奥行価格補正後の路線価
     100千円/㎡×(0.99:普通商業・併用住宅地区)= 99千円/㎡
    ロ)西側路線の奥行価格補正後の路線価
     95千円/㎡×(1.00:普通住宅地区)= 95千円/㎡
    ハ)正面路線価の決定
     イ>ロより 南側路線が正面路線
  2. 奥行価格補正後の評価対象地の1㎡当たりの評価額
    正面路線価(100千円/㎡)× 奥行価格補正率(0.99)= 99千円/㎡
  3. 側方路線影響加算後の評価対象地の1㎡当たりの評価額
    (99千円/㎡) + 側方路線価(95千円/㎡)× 奥行価格補正率(1.00:普通商業・併用住宅地区 × 側方路線影響加算率(0.08:普通商業・併用住宅地区)= 106,600円/㎡

3.不整形地の奥行価格補正の方法

奥行距離が一様でない不整形地の奥行価格補正後の価額は、不整形地の形状等により次の4つのいずれかの方法により求めます。

  1. 区分整形地を基に補正する方法
  2. 計算上の奥行距離により補正する方法
  3. 近似整形地を基に補正する方法
  4. 差引計算により補正する方法
区分整形地を基に補正する方法
①区分整形地を基に補正する方法
計算上の奥行距離により補正する方法
②計算上の奥行距離により補正する方法

近似整形地を基に補正する方法
③近似整形地を基に補正する方法
差引計算により補正する方法
④差引計算により補正する方法

4.方法①:区分整形地を基に補正する方法

整形地に合理的に区分できる不整形地
整形地に合理的に区分できる不整形地

(1) 補正の仕方

区分整形地を基に補正する方法は、評価対象地を整形地に合理的に区分することができる場合に適用できる方法であり、次の手順により行います。

  • 評価対象地を合理的に整形地に区分します。
  • イにより区分した各整形地の奥行価格補正後の価額を計算します。
  • ロの価格を合算し、これを評価対象地の地積で除すことで、評価対象地の奥行価格補正後の価額を計算します。

(2) 計算例

次の土地は、普通住宅地区に存する地積155㎡の土地です。

整形地に合理的に区分できる不整形地の計算例の図
整形地に合理的に区分できる不整形地の計算例の図
  1. 整形地Aの奥行価格補正後の路線価
    正面路線価(80千円/㎡)×奥行価格補正率(1.00)× Aの地積(65㎡) = 5,200千円
  2. 整形地Bの奥行価格補正後の路線価
    正面路線価(80千円/㎡)×奥行価格補正率(0.95)× Bの地積(35㎡) = 2,660千円
  3. 整形地Cの奥行価格補正後の路線価
    正面路線価(80千円/㎡)×奥行価格補正率(1.00)× Cの地積(55㎡) = 4,400千円
  4. 評価対象地の奥行価格補正後の路線価
    (①+②+③)÷評価対象地の地積(155㎡) = 79,096円/㎡

5.方法②:計算上の奥行距離により補正する方法

整形地に合理的に区分できない不整形地
整形地に合理的に区分できない不整形地

(1) 補正の仕方

計算上の奥行距離(次のイとロのいずれか短い方の距離)により補正する方法は、どのような不整形地に対しても適用できる方法です。

  • 評価対象地の地積を間口距離で除した距離
  • 想定整形地の奥行距離

(2) 計算例

次の土地は、普通住宅地区に存する地積480㎡の土地です。

整形地に合理的に区分できない不整形地の計算例の図
整形地に合理的に区分できない不整形地の計算例の図
  1. 奥行価格補正率の査定
    イ)評価対象地の地積(480㎡)÷ 間口距離(18m)=26.66m(小数点第2位未満切捨て)
    ロ)想定整形地の奥行距離=21m
    ハ)イ>ロより、計算上の奥行距離は 21m ∴ 奥行価格補正率 =1.00(普通住宅地区)
  2. 奥行価格補正後の路線価
    正面路線価(80千円/㎡)× 奥行価格補正率(1.00)= 80千円/㎡

6.方法③:近似整形地を基に補正する方法

敷地の境界が波打っている土地
敷地の境界が波打っている土地

(1) 補正の仕方

近似整形地を基に補正する方法とは、評価対象地が波打っているような形状等をしているため、正確に評価対象地の形状を把握をすることが困難な不整形地に対して適用できる方法であり、次の手順で行います。

  • 評価対象地の近似整形地を描きます。なお近似整形地の作図に当たっては次の点に留意します。
    ㋑ 近似整形地からはみ出す評価対象地の地積と近似整形地に含まれる評価対象地以外の地積がおおむね等しく、かつ、その合計地積ができるだけ小さくなること。
    ㋺ 近似整形地は屈折角が90度であること。
  • イの近似整形地を基に奥行価格補正を行います。

(2) 計算例

次の土地は、隣地との境界が波打つような形状をしている普通住宅地区に存する地積298㎡の土地です。

敷地の境界が波打っている土地の計算例の図
敷地の境界が波打っている土地の計算例の図

評価対象地の近似整形地として描かれる四角形は、奥行距離が15mですから奥行価格補正率は1.00となります。

したがって、評価対象地の奥行価格補正後の路線価は次の算式より30千円/㎡と計算されます。

正面路線価(30千円/㎡)× 奥行価格補正率(1.00)=30千円/㎡

7.方法④:差引計算により補正する方法

前面宅地と合わせることで整形地となる土地
前面宅地と合わせることで整形地となる土地

(1) 補正の仕方

差引計算により補正する方法は、評価対象地と隣接地を合わせることで整形地となる場合に適用できる方法であり、次の手順で行います。

  • 評価対象地と隣接整形地とを一体とした場合のその一体土地の奥行価格補正後の価額を計算します。
  • 隣接整形地の奥行価格補正後の価額を計算します。
  • イからロを控除した価額を評価対象地の地積で除して、評価対象地の奥行価格補正後の路線価を計算します。

なお、隣接整形地の奥行価格補正後の価額の計算においては、隣接整形地の奥行距離が短く、奥行価格補正率が1.00未満となる場合においても、奥行価格補正率は1.00であるものとして計算をします。

前面宅地と合わせることで整形地となる土地の計算例の図
前面宅地の奥行価格補正率が1.00未満の場合

例えば上の図の土地を例にすると、隣接整形地Bの奥行距離は6mですから、本来は隣接整形地Bの奥行価格補正率は0.95(普通住宅地区)となりますが、差引計算により評価する方法では隣接整形地Bの奥行価格補正率は1.00であるものとして隣接整形地Bの価額を計算します。

ただし、一体土地(A+B)の奥行距離が短く、一体土地の奥行価格補正率が1.00未満となる場合には、隣接整形地(B)の奥行価格補正後の価額を計算する際に使用する奥行価格補正率も一体土地の奥行価格補正率と同じ値を使用します。

(2) 計算例

次の土地は、普通住宅地区に存する旗竿上の土地(A)とその隣接土地(B)です。

前面宅地と合わせることで整形地となる土地の計算例の図
前面宅地と合わせることで整形地となる土地の計算例の図
  1. 一体土地(A+B)の奥行価格補正後の路線価
     正面路線価(75千円/㎡)×奥行価格補正率(0.97)× 99㎡= 7,202,250円
  2. 前面宅地(B)の奥行価格補正後の路線価
     正面路線価(75千円/㎡)×奥行価格補正率(0.92<0.97 ∴0.97)× 34㎡= 2,473,500円
  3. 評価対象地の奥行価格補正後の路線価
    (①-②)÷ 65㎡ = 72,750円/㎡