1.相続税土地評価における地積
相続税土地評価における地積は、財産評価基本通達第8項より、課税時期における実際の面積によるとされています。
なお、課税時期とは相続が開始した時、つまり被相続人の死亡日を指します。
2.地積の種類
地積とは、土地の面積をいい、水平投影面積により測られます。
一般に「地積」とされるものにはいくつかの種類があり、その代表的なものを列挙すると下記の3つがあります。
(1) 登記簿面積
① 内容
登記簿面積とは、法務局に備え付けの登記簿(現在は磁気ディスク)に記録されている土地の面積をいいます。一般に「登記簿面積」または「公簿面積」と呼ばれます。
② 取得方法(確認方法)
不動産登記簿に記録されている情報は、登記簿謄本又は全部事項証明書を見ることで確認をすることができます。
- 登記簿謄本
公証力のある書類であり、全国の法務局より入手することができます。 - 全部事項証明書
公証力は無い書類ですが、登記簿謄本の内容と同一の内容が記載されています。登記情報提供サービスより入手することができます。
③ 地積としての信頼度
登記簿面積の信頼度は、①登記年月日、②登記原因、③地積測量図の添付の有無、④杭や鋲の座標の有無によって異なりますが、相続税土地評価においては次のように考えれておけば十分です。
地積測量図の添付 | 杭や鋲の座標の有無 | 信頼度 |
---|---|---|
無し | 無し | 低 |
有り | 無し | 普通 |
有り | 有り | 高 |
(2) 課税台帳記載面積
① 内容
課税台帳記載面積とは、固定資産課税台帳に登録されている面積をいいます。
② 取得方法(確認方法)
課税台帳記載面積は、固定資産評価証明書より確認することができます。なお、固定資産評価証明書と類似する書類に課税明細書と名寄帳がありますが、それぞれ次のような違いがあります。
- 固定資産評価証明書
記載された固定資産の評価額につき公証力のある書類です。記載された地積には、固定資産税が課される「課税地積」と、固定資産税が課されない「非課税地積」の両方が記載されています。 - 課税明細書
固定資産税の徴税のために納税通知書と共に自治体より発行される書類であり、公証力もあります。固定資産評価証明書と違うのは、通常は「課税地積」のみ記載されている点です。また、土地全体で免税点(30万円)未満の場合は発行されません。 - 名寄帳
任意の所有者がその自治体において所有する不動産を一覧表示したものです。基本的に課税明細書に記載された内容と同じです。ただし公証力はありません。
相続税土地評価においては、課税地積と非課税地積の両方を知る必要があり、また、免税点以下の不動産の情報も必要となるため、原則として「固定資産評価証明書」が必要になります。
③ 地積としての信頼度
課税台帳記載面積は、固定資産税を課税するために地方自治体によって管理されている数量です。管理する自治体によって精度の差はありますが、通常、登記簿面積を基に自治体職員(又はその外部委託先)の現地調査を踏まえて登録されていますので、それなりの信頼度があります。
(3) 契約面積
① 内容
契約面積とは、借地契約の対象となっている土地の面積をいいます。
② 取得方法(確認方法)
契約面積は、書面による契約であれば土地賃貸借契約書に記載されていますが、口頭による場合は契約当事者に範囲を確認の上、現地調査及び地積測量図などを基にその範囲を確定します。
③ 地積としての信頼度
賃貸借契約書が新しく、図面等を用いてその範囲を確定している場合は精度が高いですが、口頭による場合や賃貸借契約書が古い場合などは、信頼度の低い地積となっていることが多いため、借地契約当時者からその借地の範囲を確認しながら改めてその範囲を確定していく必要があります。
3.相続税土地評価において採用する地積
相続税土地評価における地積は、基本的には次の順序で採用をします。
- 杭や鋲がある地積測量図に記載された地積
- 杭や鋲が無い地積測量図に記載された地積
- 固定資産評価証明書に記載のある地積
- 登記簿謄本(全部事項証明書)に記載された地積
なお、登記簿謄本や地積測量図、固定資産評価書以外にも次の図面に記載された数量を採用することも検討すると良いでしょう。
- 竣工図に記載された土地面積
- 建築計画概要書に記載された土地面積
特に、前面道路が2項道路や附則5号道路などの狭あいな道路であり、セットバックが関係しているような土地の場合には上記の建築関係書類が地積確定に重要な役割を果たすことがあります。