目次
1.接道距離と間口距離
接道距離とは、土地が道路に接している部分の長さのことを言います。基本的には間口距離と同じです。


しかしながら、建築基準法でいう「接道距離」と相続税法の財産評価基本通達でいう「間口距離」は全く同じものではなく、また、使用用途も異なります。
例えば、相続税法上の間口距離は奥行価格補正、側方路線影響加算、二方路線影響加算、三方路・四方路線影響加算、間口狭小補正・奥行長大補正などの画地調整率の計算に使用しますが、建築基準法上の接道距離は接道義務の判断のために使用します。
なお、接道義務を満たさない場合には相続税土地評価では「無道路地補正」を行いますので、接道距離は相続税土地評価においても使用することになります。
2.接道距離の測り方の基本
接道距離は道路に接している部分の長さが基本です。ほとんどの場合は間口距離と同じです。

接道距離・間口距離を測るための資料
相続税土地評価において、どの資料や数値を間口距離の根拠とすべきか?という悩みがあるかと思いますが、基本的に評価対象地の現況とあまり変わらない資料であればなんでも問題ありません。例えば、公図や住宅地図、航空写真などを使っても問題ありません。
他方、建築基準法上の接道距離の測定では原則として「測量図」を用います。測量図といっても精度の高いものから低いものまで様々ですが、座標があるような測量図であれば十分な精度の図面となります。
3.傾斜地の場合の接道距離
傾斜地にある場合の接道距離は道路に接している部分の長さではなく、道路に接している部分の「水平距離」となります。

したがって、現地調査においてローラーで測量した結果2mジャストといったような場合には、水平距離で測定をすると接道距離が2mを切る可能性があります。このような場合には接道義務を満たさない可能性がありますので、座標付きの測量図面で接道距離を確認する必要があります。
4.途中で通路が狭くなる場合の接道距離
通路が途中で狭くなる土地の場合は「通路の最小幅員」が接道距離となります。

そもそも接道距離を原則2m以上としているのは、防災上の理由によります。火事や地震などがあった場合には緊急車両が出入りできる必要がありますが、間口が大きくても途中の通路が狭ければ緊急車両の出入りができません。したがって、途中で通路が狭くなる場合にはその狭くなる通路の最小幅員が接道距離となります。
5.間口が複数ある場合の接道距離
間口が複数ある場合の接道距離は、複数ある間口のうち最長のものの長さが接道距離になります。



相続税土地評価における間口距離はa+bといった具合に複数ある間口の距離を合算した長さとなりますが、接道距離は複数ある間口の距離を合算しませんので注意する必要があります。
6.土地が道路に対して斜めに接道する場合の接道距離
土地が道路に対して斜めに接道する場合の接道距離は、通路と直交する線の長さが接道距離となります。

上の図では間口距離はbですが、接道距離はaとなります。なお、相続税土地評価における間口距離は原則としてbですが、aとすることも認められています。
7.土地が道路を囲うように接している場合の接道距離
土地が次の図のように道路を囲うように接している(外接している)場合は、接道距離はb+cではなくaとなります。この場合、相続土地評価における間口距離もa<b+cより「a」となります。

このような接道の仕方は、前面道路が位置指定道路(42条1項5号道路)の場合によく見られます。
8.水路や里道を介して道路に接する場合の接道距離
水路や里道などの法定外公共物を介して道路に接する場合は、道路に接していませんので接道距離はありません。

9.道路と敷地に高低差がある場合の接道距離
道路と敷地との間に高低差がある場合においても、敷地が道路に接している部分の長さが接道距離となります。

敷地部分が法面(または擁壁)であっても、道路部分が法面(または擁壁)であっても、敷地が道路に接している以上、敷地が道路に接している部分の長さが接道距離となります。