路線価方式による相続税土地評価|図解付き

目次

1.路線価方式

路線価方式とは、相続税土地評価における宅地の評価方式の1つです。この路線価方式は、市街地的形態を形成する地域にある宅地に対して適用される評価方式です。

したがって、市街地的形態を形成していない地域にある宅地(農村部の宅地など)については倍率方式によって評価をしますので注意します。

(1) 路線価方式が適用される地域か否かの判定方法

路線価方式が適用される地域(土地)か否かの判定は、国税庁の財産評価基準書「路線価図・評価倍率表」より行います。

財産評価基準書「路線価図・評価倍率表」
財産評価基準書「路線価図・評価倍率表」

ここでは「大阪府大阪市中央区堂島浜1丁目4番4号」の土地を例にして、路線価地域か否かを判定する手順を説明します。

① 年分の選択

財産評価基準書「路線価図・評価倍率表」のトップページ上部より、相続が開始した年のものをクリックします。

例では令和2年分のものをクリックしています。

路線価方式確認手順①年分の選択
手順①:年分の選択

② 都道府県の選択

次にトップページの中段左側のリストまたは右側地図より、評価対象地の存する都道府県を選択します。

例では大阪府に所在する土地のため「大阪府」をクリックしています。

都道府県の選択
手順②:都道府県の選択

③ 路線価図の選択

路線価図のリンクをクリックします。

  • 路線価図を見て、路線価記号があれば路線価地域であることが分かります。
路線価方式確認手順②路線価図の選択
手順③:路線価図の選択

④ 市区町村の選択

評価対象地の存する市区町村を選択します。例では大阪市北区に所在する土地のため「大阪市」の「北区」をクリックしています。

ここで、評価対象地の市区町村が載っていなければ、評価対象地の存する市区町村が「倍率地域」に所在していることになります。

路線価方式確認手順③市区町村の選択
手順④:市区町村の選択

⑤ 路線価図の選択

評価対象地が存する町丁目の路線価図の図面番号をクリックします。例では堂島浜1丁目内にある土地のため、右横にある「図面番号」の1つを任意に選んでクリックしています。

ここで評価対象地の町丁目が載っていなければ、評価対象地の存する町丁目が「倍率地域」に所在していることになります。

手順⑤路線価図の選択
手順⑤路線価図の選択

⑥ 路線価地域の判定

評価対象地の前面道路及び周辺道路に「路線価記号」が付されているかをチェックします。

例では、評価対象地の正面路線に路線価記号が付されていますので、評価対象地は路線価地域に所在することが分かりました。

ここで、評価対象地の正面路線や周辺路線に路線価記号が付されていなければ「倍率地域」に所在していることになります。

路線価方式確認手順⑤路線価地域か否かの判定
手順⑥:路線価地域か否かの判定

(2) 路線価方式による評価                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      

路線価方式による評価
路線価方式による評価

路線価方式による土地の評価は、評価対象となる宅地の正面路線に付された路線価(平米単価)を基に、その評価対象地の画地としての個別性を補正(これを「画地調整」といいます)することで評価対象地の1平米当たりの価格(補正後の路線価)を算出します。この補正後の路線価に地積を乗じて得た価格が自用地としての価格です。

この一連の流れをごく単純な計算式で表すと次のようになります。

ただし、セットバックが必要な土地や周辺の土地と比べて地積規模の大きな宅地などの画地調整では反映されない特殊な事情がある場合には、さらに上記の自用地としての価格に対して各種の補正が行われます。

2.自用地としての価格

相続税土地評価では、その宅地の「利用区分」に応じた評価を行います。この利用区分とは、権利の態様に応じた分類であり、代表的な利用区分には次のものがあります。

  • 自用地・・・・・自己の利用に供されている土地
  • 借地権・・・・・建物の所有を目的とした借地権
  • 貸宅地・・・・・借地権が設定されているその土地
  • 貸家建付地・・・貸家が存する場合のその土地
  • 貸家建付借地権・貸家が存する場合のその借家人の土地利用権
  • 定期借地権等・・借地借家法に規定する定期借地権等

全ての利用区分の相続税評価額は「自用地としての価格」を基に計算されるため、自用地としての価格の算出方法の理解は非常に重要です。

(1) 自用地と自用地としての価格                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

自用地とは、自己の利用に供されている土地のことをいいますが、厳密には、他人の権利が付着していない宅地又は他人の権利は付着しているものの、その権利が脆弱である場合のその宅地のことをいいます。

したがって、更地のほか、次のようなものも相続税評価では自用地に分類されます。

自用地となる例:①土地も建物自用の場合、②月極駐車場として利用されている場合、③使用貸借の場合
自用地となる例

自用地としての価格は、路線価地域に所在する宅地については、正面路線価を基に、奥行価格補正側方路線影響加算二方路線影響加算三方又は四方路線影響加算及び不整形地補正規模格差補正無道路地補正間口狭小補正がけ地等補正特別警戒区域補正及び容積率補正までの各種加算調整及び減価補正をして求めた評価対象地の1平米当たりの評価額(補正後路線価)に対して、評価対象地の地積を乗じて計算した自用地価格に、さらに次の評価補正を適用した後の価格をいいます。

  1. 大規模工場用地の評価
  2. 私道の用に供されている宅地の評価
  3. 土地区画整理事業施行中の宅地の評価
  4. セットバックを必要とする宅地の評価
  5. 都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価
  6. 文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価
  7. 余剰容積率の移転がある場合の宅地の評価

(2) 借地権と貸宅地                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

借地権とは、建物の所有を目的とする借地権をいい、貸宅地とは、借地権が設定されている宅地をいいます。

借地権の設定の例
借地権の設定の例

相続税評価における借地権と貸宅地の原則的評価方法は次の通りです。

  • 借地権価格・・・自用地としての価格 × 借地権割合
  • 貸宅地価格・・・自用地としての価格 ×(1-借地権割合)

ただし、相続税土地評価における借地権は私法上の借地権や所得税法や法人税法の借地権とズレがあるほか、借地権が存在するからといって必ずしも借地権を評価するわけではないことに注意する必要があります。

また、土地の無償返還に関する届出書の提出がある場合や相当の地代の支払いにより土地の賃貸借が行われている場合などの場合には、上記の原則的な評価とは異なる評価方法により評価をしますので、借地権や貸宅地の評価に当たっては、①借地人と地主の属性・関係性、②権利金等の一時金の授受の有無、③地代の大小、④各種届出の有無などを確認しながら丁寧に評価を行います。

(3) 貸家建付地と貸家建付借地権                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

貸家建付地とは、自己所有地に自己所有の建物を建て、これを貸している場合のその土地をいいます。また、貸家建付借地権とは、その建物賃借人の土地利用権をいいます。

貸家建付借地権の設定の例
貸家建付借地権の設定の例

相続税評価における貸家建付借地権と貸家建付地の原則的評価方法は次の通りです。

  • 貸家建付借地権の価格・・・自用地としての価格 × 借地権割合 × 借家権割合
  • 貸宅地価格・・・自用地としての価格 ×(1-借地権割合 × 借家権割合)

3.正面路線価

正面路線とは、原則として、評価対象地の前面(正面)にある路線価の付された路線(道路)のことをいいます。

また、正面路線価とは、正面路線に付された価格(単価)のことをいい、その路線に接する標準的な宅地の1平米当たりの価格を意味します。

正面路線価
正面路線価

この路線価は、相続税路線価図より確認をします。なお、相続税路線価は1平米当たりの宅地の価格をいい、千円/㎡の単位で表記されています。

したがって、上の図の評価対象地の正面路線価は60,000円/㎡であることが分かります。

4.画地調整率と自用地価格に対する補正

画地調整率

画地調整項目調整内容
奥行価格補正奥行きが短小あるいは長大である場合の減価補正
側方路線影響加算側方路線がある場合の加算調整
二方路線影響加算背面路線がある場合の加算調整
三方又は四方路線影響加算3面又は4面で道路に接する場合の加算調整
不整形地補正画地が不整形であることによる減価補正
規模格差補正画地の規模が過大であることによる減価補正
無道路地補正評価対象地が建築基準法上の道路に接しないことによる減価補正
間口狭小補正・奥行長大補正画地の間口が短小又は奥行きが長大であることによる減価補正
がけ地等補正評価対象地内に傾斜地があることによる減価補正
特別警戒区域補正評価対象地内に土砂災害特別警戒区域に指定された土地がある場合の減価補正
容積率補正2以上の指定容積率にまたがる場合の減価補正
画地調整
自用地価格に対する補正項目補正内容
大規模工場用地の評価評価対象地が大規模工場用地に該当する場合の減価補正
余剰容積率の移転がある場合の宅地の評価余剰容積率が移転している場合の増減価補正
私道の用に供されている宅地の評価私道の用に供されている場合の減価補正
土地区画整理事業施行中の宅地の評価土地区画整理事業地内にあることによる減価補正
セットバックを必要とする宅地の評価セットバックを要する場合の減価補正
都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価都市計画道路予定地に指定されていることによる減価補正
文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価文化財建造物に指定されている場合の減価補正
自用地価格に対する補正

5.地積

相続税土地評価における地積は、課税時期における実際の面積によります。

相続税土地評価における地積|図解付き
相続税土地評価における地積について、①地積の種類、②地積を確定するための資料、③地積としての信頼性、④採用すべき地積の優先順位などについて紹介しています。
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