地積規模の大きな宅地の評価と計算例|図解付き

1.地積規模の大きな宅地の評価

倍率地域と路線価地域
倍率地域と路線価地域

(1) 路線価地域に存する場合

地積規模の大きな宅地の価額は、奥行価格補正側方路線影響加算二方路線影響加算三方又は四方路線影響加算及び不整形地補正までの定めにより計算した価額に、その宅地の地積の規模に応じ、次の算式により求めた規模格差補正率を乗じて計算した価額によって評価します。

\[ \bf{ 規模格差補正率 = \frac{ 評価対象地の地積(A) \times B + C}{評価対象地の地積(A)} \times 0.8 } \]
  • 規模格差補正率は小数点第2位未満切り捨てます。
  • B及びCは規模格差補正率表より参照した数値を代入します。

① 規模格差補正率表

規模格差補正率の査定に係るB及びCは、評価対象地が①三大都市圏に存するか否か、②地積の大小によって次の通り異なります。

地積三大都市圏それ以外の地域
500㎡以上 1,000㎡未満0.9525適用無し
1,000㎡以上 3,000㎡未満0.90750.90100
3,000㎡以上 5,000㎡未満0.852250.85250
5,000㎡以上0.804750.80500

(2) 倍率地域に存する場合

倍率地域に所在する「地積規模の大きな宅地」については、次のうちいずれか低い方の価額により評価します。

  1. 倍率方式により評価した価額
    固定資産税評価額 × 評価倍率
  2. 路線価方式に準じて評価した価額
    1㎡当たりの価格 × 普通住宅であるものとした場合の画地調整率 × 地積

(2) 路線価方式に準じて評価する場合

① 具体的な評価方法

路線価方式に準じて評価する場合は、評価対象地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額を路線価とし、画地調整に当たっては評価対象地が普通住宅地区に所在するものとして評価を行います。

② 1㎡当たりの価額の査定方法

その宅地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額は、付近にある標準的な画地規模を有する宅地(標準宅地)の価額との均衡を考慮して算定します。

実務上の対応としては、評価対象地が接面する固定資産税路線価に対し、その評価対象地の属する地域の宅地の評価倍率を乗じて、相続税路線価相当額(千円未満切り捨て)を計算することで、1㎡当たりの価額(路線価)を算出します。

(3) 地積規模の大きな宅地と広大地

地積規模の大きな宅地の評価は、財産評価基本通達20-2に定められている画地調整項目であり、平成30年1月1日以後に生ずる相続、遺贈又は贈与(相続等)により取得した財産の評価において適用されます。

平成29年12月31日以前に生じた相続等により取得した財産の評価においては、本通達ではなく旧財産評価基本通達20-4に定められていた「広大地の評価」により画地調整を行います。

2.一般的な宅地の評価計算例

次の土地は、三大都市圏内に所在し、普通住宅地区に存する地積750㎡の土地です。

一般的な宅地の場合(評価対象地:三大都市圏、普通住宅地区、地積750㎡)
三大都市圏、普通住宅地区、地積750㎡
  1. 奥行価格補正後の評価対象地の1㎡当たりの評価額
    正面路線価(300千円/㎡)× 奥行価格補正率(0.95)= 285千円/㎡
  2. 規模格差補正後の評価対象地の1㎡当たりの評価額
    イ)三大都市圏、普通住宅地区、地積750㎡
      ∴A:750、B:0.95、C:25
    ロ)規模格差補正率
      (750㎡ × 0.95 + 25)÷ 750㎡ × 0.8 = 0.78666…
      ∴0.78(小数点第2位未満切捨て)
    ハ)補正後路線価
      ①(285千円/㎡) × 規模格差補正率(0.78)= 222,300円/㎡
  3. 自用地としての価額
    (222,300円/㎡) × 地積(750㎡) = 166,725千円

3.不整形地の場合の評価計算例

次の土地は、三大都市圏内に所在し、普通住宅地区に存する地積620㎡の不整形な土地です。

三大都市圏、普通住宅地区、地積620㎡、不整形
  1. 奥行価格補正後の路線価
    イ)計算上の奥行距離
      地積(620㎡)÷間口距離(30m)= 20.66m < 25m(想定整形地の奥行距離)
      ∴20.66m
    ロ)補正後路線価
      正面路線価(100千円/㎡)× 奥行価格補正率(1.00)=100千円/㎡
  2. 不整形地補正後の路線価
    イ)かげ地割合
      (1,000㎡ – 620㎡)÷ 1,000㎡ = 38%
    ロ)不整形地補正率
      普通住宅地区、地積区分:B、かげ地割合:38%
      ∴0.91
    ハ)補正後路線価
      ①(100千円/㎡) × 不整形地補正率(0.91)= 91千円/㎡
  3. 規模格差補正後の評価対象地の1㎡当たりの評価額
    イ)規模格差補正率
      (620㎡ × 0.95 + 25)÷ 620㎡ × 0.8 = 0.79222…
      ∴0.78(小数点第2位未満切捨て)
    ロ)補正後路線価
      ②(91千円/㎡) × 規模格差補正率(0.79)= 71,890円/㎡
  4. 自用地としての価額
    (71,890円/㎡) × 地積(620㎡) = 44,571,800円

4.正面路線が2以上の地区にわたる場合の評価計算例

次の土地は、三大都市圏外に所在する地積1,500㎡の土地です。正面路線は2つの路線価の付された路線からなり、1つの路線は普通住宅地区に属し、もう1つ路線は中小工場地区に属しています。

正面路線が2以上の地区にまたがる場合の例(三大都市圏以外、地積1,500㎡、普通住宅地区と中小工場地区にまたがる場合)
三大都市圏以外、地積1,500㎡、正面路線が2以上の地区にまたがる場合
  1. 地区要件の判定
    普通住宅地区に存する面積の割合=900㎡÷,1500㎡=60%>50%
    →普通住宅地区に存するものと判定
    ∴地区要件を充足する
  2. 正面路線価
    (80千円/㎡×30m + 50千円/㎡×20m)÷ 50m = 68千円/㎡
  3. 奥行価格補正後の路線価
    正面路線価(68千円/㎡)× 奥行価格補正率(0.95)= 64,600円/㎡
  4. 規模格差補正後の路線価
    イ)三大都市圏以外、普通住宅地区、地積1,500㎡
     ∴A:1,500、B:0.90、C:100
    ロ)規模格差補正率
     (1,500㎡×0.90 + 100)÷ 1,500㎡ × 0.8 = 0.7733…
     ∴0.77(小数点以下第2位未満切捨て)
    ハ)補正後路線価
     ③(64,600円/㎡) × ロ(0.77)= 49,742円/㎡
  5. 自用地としての価額
    (49,742円/㎡) × 地積(1,500㎡) = 74,613千円

5.異なる用途地域にまたがる場合の評価計算例

次の土地は、三大都市圏以に所在する地積4,000㎡の土地です。正面路線は普通商業・併用住宅地区に属しますが、敷地が工業地域と工業専用地域にまたがっています。

用途地域が工業専用地域とそれ以外の地域にわたる場合の例(三大都市圏以外、普通商業・併用住宅地区、地積4,000㎡、2以上の用途地域にまたがる場合)
三大都市圏以外、普通商業・併用住宅地区、地積4,000㎡、2以上の用途地域にまたがる場合
  1. 地域要件の判定
    工業地域に属する面積の敷地面積に対する割合
    =3,000㎡ ÷ 4,000㎡
    =75%>50% → 全体を準工業地域として判定
    ∴ 地域要件を充足する
  2. 奥行価格補正後の路線価
    正面路線価(30千円/㎡)× 奥行価格補正率(0.89)= 26,700円/㎡
  3. 規模格差補正後の路線価
    イ)三大都市圏以外、普通商業・併用住宅地区、地積4,000㎡
      ∴A:4,000、B:0.85、C:250
    ロ)規模格差補正率
     (4,000㎡×0.85 + 250)÷ 4,000㎡ × 0.8 = 0.73
    ハ)補正後路線価
      ②(26,700円/㎡) × 規模格差補正率(0.73)= 19,491円/㎡
  4. 自用地としての価額
    (19,491円/㎡)× 地積(4,000㎡)= 77,964千円

6.指定容積率の異なる地域にまたがる場合の評価計算例

次の土地は、三大都市圏以外の地域に所在する、普通商業・併用住宅地区内に存する地積1,400㎡の土地です。敷地が指定容積率が300%と400%の地域にまたがっています。

指定容積率の異なる地域にまたがる土地
三大都市圏以外、普通商業・併用住宅地区、地積1,400㎡、指定容積率の異なる地域にまたがる場合
  1. 容積率要件の判定
    (400%×875㎡+300%×525㎡)÷1,400㎡=362.5% < 400%
    ∴容積率要件を充足する
  2. 奥行価格補正後の路線価
    正面路線価(400千円/㎡)× 奥行価格補正率(0.97)= 388千円/㎡
  3. 規模格差補正後の路線価
    イ)三大都市圏以外、普通商業・併用住宅地区、地積1,400㎡
      ∴A:1,400、B:0.90、C:100
    ロ)規模格差補正率
      (1,400㎡×0.90+100)÷1,400㎡×0.8=0.7771…
      ∴0.77(小数点以下第2位未満切捨て)
    ハ)補正後路線価
      ②(388千円/㎡) × 規模格差補正率(0.77)= 298,760円/㎡
  4. 自用地としての価額
    (298,760円/㎡) × 地積(1,400㎡) = 418,264千円

7.倍率地域に所在する場合の評価計算例

次の土地は、三大都市圏以外の地域に存する地積3,500㎡の土地です。画地は間口50m・奥行70mの長方形状の角地です。倍率地域に所在し、宅地の評価倍率は1.1倍で、固定資産税評価額は215,000,000円です。

倍率地域における地積規模の大きな宅地
倍率地域における地積規模の大きな宅地

(1) 倍率方式により評価した価額

 固定資産税評価額(215,000千円) × 宅地の評価倍率(1.1) = 236,500千円

(2) 路線価方式に準じて評価した価額

  1. 正面路線価、側方路線価の計算
    正面路線価:固定資産税路線価(70,000円/㎡)× 宅地の評価倍率(1.1)= 77千円
    方路線価:固定資産税路線価(62,500円/㎡)× 宅地の評価倍率(1.1)= 68千円
  2. 奥行価格補正後の路線価
    正面路線価(77千円/㎡)× 奥行価格補正率(0.84:普通住宅地区・70m)= 64,680円/㎡
  3. 側方路線影響加算後の路線価
    イ)奥行価格補正後の側方路線価
      側方路線価(68千円/㎡)× 奥行価格補正率(0.89:普通住宅地区・50m)= 60,520円/㎡
    ロ)側方路線影響加算後の評価対象地の1㎡当たりの評価額
      ②(64,680円/㎡)+ イ(60,520円/㎡)× 0.03 = 66,495円/㎡
  4. 規模格差補正後の路線価
    イ)規模格差補正率
      A:3,500、B:0.85、C:250
      (3,500㎡×0.85+250)÷3,500×0.8=0.7371…
      ∴0.73(小数点以下第2位未満切捨て)
    ロ)規模格差補正後の路線価
      ③(66,495円/㎡) × 規模格差補正率(0.73)= 48,541円/㎡
  5. 自用地としての価額
    ④ × 地積(3,500㎡) =169,893,500円

(3) 相続税評価額

(1)(236,500,000円)>(2)(169,893,500円)より 169,893,500円