不整形地の評価|図解付き

1.不整形地

不整形地とは、一般に、正方形または矩形(くけい)以外の形をした土地のことをいいます。

(1) 不整形地の例

代表的な不整形地の例としては次のようなものがあります。

① 単に不整形な土地

単に不整形な土地
単に不整形な土地

単に形が長方形ではない不整形な土地。古くからある町(旧集落など)でよく見られます。

② 旗竿地

旗竿地
旗竿地

旗(FLAG)の形をした土地。ミニ開発が行われると生じることがあります。

③ 正面道路との関係で不整形な土地

正面道路との関係で不整形な土地
正面道路との関係で不整形な土地

正面道路との関係で不整形となる土地。郊外に幹線道路が開設されたりすることで生じます。

④ 整形地に分割できる不整形地

整形な土地に分割できる不整形地
整形な土地に分割できる不整形地

隣接土地を併合したりすると生じる不整形な土地です。

(2) 不整形地の特徴

不整形地は整形な画地(整形地)と比較して次のような難点があるため、土地の効用が低下し、実際に市場においても整形地よりも低い価格で取引される傾向にあります。

  1. 利用効率の低下
  2. 無駄なスペース発生
  3. 建築レイアウトの制限
  4. 建築可能な建物の制限
  5. 利用可能な用途の制限

したがって、路線価地域に所在する不整形地については、相続税土地評価において「不整形地補正」として画地調整をすることとなっています。

(3) 不整形地とかげ地

かげ地とは、評価対象となる土地に対して想定整形地を設定した場合に、その想定整形地のうち評価対象地以外の部分のことをいいます。日が当たっている部分が評価対象地であり、その影になっている部分がかげ地です。

かげ地
不整形地とかげ地

相続税土地評価においては、想定整形地に対するかげ地部分の割合かげ地割合が大きいほど不整形の度合いが高いものと考えています。

\[ \bf{かげ地割合 =\frac{ 想定整形地の地積 – 不整形地の地積}{想定整形地の地積}} \]

2.不整形地の評価(不整形地補正)

不整形地の評価は、評価対象地の正面路線価を基に奥行価格補正を行い、その奥行価格補正後の路線価に対して側方路線影響加算二方路線影響加算三方又は四方路線影響加算をして得た価額に不整形地補正率を乗ずることで行います。

\[ \bf{不整形地の評価額 = 補正後・調整後の路線価 \times 不整形地補正率 } \]

なお、不整形地補正による減価補正は「最大40%」の評価減となります。

(1) 不整形地補正率

不整形地補正率は、次の2つの手順で把握します。

  1. 地積区分の判定
  2. 不整形地補正率の参照

① 地積区分(A or B or C)の判定

評価対象地の地積区分は、評価対象地の「地積」と、評価対象地が属する「地区区分」に基づき、次の地積区分表から把握します。

地積区分

地区区分
ABC
高度商業地区1,000㎡未満1,000㎡以上 1,500㎡未満1,500㎡以上
繁華街地区450㎡未満 450㎡以上 700㎡未満700㎡以上
普通商業・併用住宅地区650㎡未満 650㎡以上 1,000㎡未満1,000㎡以上
普通住宅地区500㎡未満 500㎡以上 750㎡未満750㎡以上
中小工場地区3,500㎡未満3,500㎡以上 5,000㎡未満5,000㎡以上
地積区分表(H19年分以降用)

例えば、普通住宅地区に存する250㎡の土地であれば、地積区分は「A」になります。

② 不整形地補正率の参照

前記①より把握した「地積区分」と「かげ地割合」に基づき、評価対象地の不整形地補正率を次の不整形地補正率表より参照します。

地区区分高度商業地区、繁華街地区
普通商業・併用住宅地区、中小工場地区
普通住宅地区
地積区分
かげ地割合
ABCABC
10%以上0.990.991.000.980.990.99
15%以上0.980.990.990.960.980.99
20%以上0.970.980.990.940.970.98
25%以上0.960.980.990.920.950.97
30%以上0.940.970.980.900.930.96
35%以上0.920.950.980.880.910.94
40%以上0.900.930.970.850.880.92
45%以上0.870.910.950.820.850.90
50%以上0.840.890.930.790.820.87
55%以上0.800.870.900.750.780.83
60%以上0.760.840.860.700.730.78
65%以上0.700.750.800.600.650.70
不整形地補正率表(H19年分以降用)

例えば、普通住宅地区に存する地積区分A、かげ地割合26%の土地であれば、不整形地補正率は「0.92」となります。

③ かげ地割合

かげ地
不整形地とかげ地

かげ地割合とは、想定整形地に対するかげ地部分の割合かげ地割合をいい、次の計算式により計算します。

\[ \bf{かげ地割合 =\frac{ 想定整形地の地積 – 不整形地の地積}{想定整形地の地積}} \]

(2) 不整形地補正の計算例

次の土地は、普通住宅地区に存する地積480㎡の土地です。

通常の不整形地補正の計算例(地積480㎡、かげ地割合32.77%の土地)
通常の不整形地補正の計算例
  1. 奥行価格補正後の路線価
    イ)奥行価格補正率の査定
     ㋑評価対象地の地積(480㎡)÷ 間口距離(18m)=26.66m(小数点第2位未満切捨て)
     ㋺想定整形地の奥行距離=21m
     ㋩㋑>㋺より、計算上の奥行距離は 21m
      ∴ 奥行価格補正率 = 1.00(普通住宅地区)
    ロ)奥行価格補正後の路線価
     正面路線価(80千円/㎡)× イ(1.00)= 80千円/㎡
  2. 不整形地補正後の路線価
    イ) かげ地割合
     (714㎡ – 480㎡)÷ 714㎡ = 32.773…%
    ロ)不整形地補正率
     普通住宅地区、地積区分:A、かげ地割合:32.773…% ∴0.90
    ハ)不整形地補正後の路線価
     ①(80千円/㎡)×0.90=72千円/㎡
  3. 自用地としての価額
    (72千円/㎡)×地積(480㎡)= 34,560千円

3.間口狭小な不整形地の評価

旗竿地
旗竿地

旗竿地のような間口が狭小な不整形地については、次のうちいずれか低い方の補正率をもって「不整形地補正率」とすることができます。

  1. 整形地補正率 × 口狭小補正率
  2. 口狭小補正率 × 行長大補正率

(1) 計算例

次の土地は、普通住宅地区に存する旗竿上の土地(A)とその隣接土地(B)です。

差引計算により評価する方法
差引計算により評価する方法
  1. 奥行価格補正後の路線価
    イ)差引計算による方法
     ㋑一体土地(A+B)の奥行価格補正後の路線価
      正面路線価(75千円/㎡)× 奥行価格補正率(0.97)× 99㎡= 7,202,250円
     ㋺前面宅地(B)の奥行価格補正後の路線価
      正面路線価(75千円/㎡)× 奥行価格補正率(0.92<0.97 ∴0.97)× 34㎡= 2,473,500円
     ㋩奥行価格補正後の路線価
      (イ-ロ)÷ 地積(65㎡) = 72,750円/㎡
    ロ)計算上の奥行距離により補正する方法
     ㋑計算上の奥行距離
      65㎡ ÷ 2.5m = 26m > 9m ∴9m
     ㋺奥行価格補正後の路線価
      正面路線価(75千円/㎡)× 奥行価格補正率(0.97)= 72,750円/㎡
    ハ)奥行価格補正後の路線価
     イ=ロより、72,750円/㎡
  2. 不整形地補正後の路線価
    イ) かげ地割合
     (99㎡-65㎡)÷ 99㎡ = 34.34…%
    ロ)不整形地補正率
     普通住宅地区、地積区分:A、かげ地割合:34.34…% ∴0.90
    ハ)間口狭小・奥行長大であることを考慮した不整形地補正率
     ㋑ 不整形地補正率(0.90)× 間口狭小補正率(0.90)= 0.81
     ㋺ 間口狭小補正率(0.90)× 奥行長大補正率(0.96)= 0.86
     ㋩ ㋑<㋺より 0.81(≧0.60) ∴0.81
    二)不整形地補正後の路線価
     ①(72,750円/㎡)× ロ(0.81)=58,927円/㎡
  3. 自用地としての価額
    (58,927円/㎡)×地積(65㎡)= 3,830,255円

4.敷地の境界が波打っている不整形地

次の図の黄色の土地のように、隣接地との境界が波打っており、評価対象地の図面を作成することが(ひいては各種の補正をすることが)困難な土地があります。郊外の土地や古くからある街で比較的多く見られます。

敷地の境界が波打っている土地
敷地の境界が波打っている土地

このような土地については、「近似整形地」を作成し、その禁じ整形地を評価対象地であるものとみなして相続税の土地評価をすることができます。

(1) 近似整形地

近似整形地の作図
近似整形地の作図

近似整形地とは、波打った形状の評価対象地に近似した整形地のことをいいます。この近似整形地は次の3つの条件を満たすように納税義務者が任意に作成します。

  1. 正方形または矩形(くけい)になること
  2. 近似整形地からはみ出す評価対象地の地積と近似整形地に含まれる評価対象地以外の地積ができる限り等しくなること
  3. ②の地積の合計ができるだけ小さくなること

(2) 近似整形地を基に評価する方法

近似整形地を基に評価する方法は、次の手順により評価をします。

  1. (1)に従い描いた近似整形地を評価対象地であるものとして、次の補正及び加算調整を行います。
  2. ②の補正・加算後の価額に対して、評価対象地のかげ地割合に基づく不整形地補正率を乗じて、不整形補正後の路線価を算出します。

(3) 近似整形地を基に評価する場合の計算例

次の土地は、隣地との境界が波打っている、地積298㎡の土地の例です。

近似整形地により求める方法
近似整形地により評価する場合
  1. 近似整形地の奥行価格補正後の路線価
    近似整形地の奥行距離(15m)に基づき奥行価格補正率を1.00と査定。
    正面路線価(30千円/㎡)× 奥行価格補正率(1.00)= 30千円/㎡
  2. 不整形地補正後の路線価
    イ) かげ地割合
     (368㎡ – 298㎡)÷ 368㎡ = 19.021…%
    ロ)不整形地補正率
     普通住宅地区、地積区分:A、かげ地割合:19.021…% ∴0.96
    ハ)不整形地補正後の評価対象地の1㎡当たりの評価額
     ①(30千円/㎡)× ロ(0.96)=28,800円/㎡
  3. 自用地としての価額
    (28,800円/㎡)× 地積(298㎡)= 8,582,400円

5.不整形地補正を行わない不整形地

不整形地のうち次のような「帯状部分」を有するものについては、①帯状部分と②それ以外とを別々の評価単位として評価をします。

帯状部分とそれ以外を別々の評価単位とする不整形地
帯状部分とそれ以外を別々の評価単位とする不整形地

(1) 別々の評価単位として評価をする理由

帯状部分を含めた一体土地として評価をすると、かげ地割合が大きくなるため不整形地補正率が大きくなるため「帯状部分を含んだ土地の評価額 < 帯状部分以外の土地の評価額」という不合理な結果となります。

帯状部分を含めて評価をすると不合理となる場合の例
帯状部分を含めて評価をすると不合理となる場合の例

したがって、そのような形状の土地については帯状部分を含めての評価は行わず、帯状部分とそれ以外の部分とを別々の評価単位として評価をし、最終的にそれらを合算することでその土地の評価額を計算します。

(2) 計算例

次の土地は、帯状部分(C)を含む不整形な土地の例です。

帯状部分を含む不整形地の評価の例
帯状部分を含む不整形地の評価の例
  1. 前面宅地(A・B)の価額
    正面路線価(80千円/㎡)× 奥行価格補正率(1.00)× 地積(375㎡)= 30,000千円
  2. 後方宅地(C)の価額
    イ)奥行価格補正後の帯状宅地(B・C)の価額
     正面路線価(80千円/㎡)× 奥行価格補正率(1.00)× 地積(60㎡)= 4,800千円
    ロ)奥行価格補正後の帯状前面宅地(B)の価額
     正面路線価(80千円/㎡)× 奥行価格補正率(1.00)× 地積(30㎡)= 2,400千円
    ハ)奥行価格補正後の帯状後方宅地(C)の価額
     イ(4,800千円)- ロ(2,400千円) = 2,400千円
    ニ)間口狭小、奥行長大補正後の帯状後方宅地(C)の価額
     ハ(2,400千円) × 間口狭小補正率(0.90) × 奥行長大補正率(0.90)=1,944千円
  3. 評価対象地(A・B・C)の自用地としての価額
    ① + ② = 31,944千円

なお、後方宅地(C)の評価は無道路地の評価と同じように評価を行います。